「自分の得意なことを聞かれても、うまく答えられない」「作業をしても、できなかったことばかりが気になる」。就職に向けて準備する中で、このように感じる方もいます。
いきなり得意・苦手を決めようとせず、作業後に短いメモを残すところから始める方法があります。この記事では、「できたこと」「困ったこと」「次に試すこと」の3つを手がかりに、取り組みやすい条件を整理する書き方を紹介します。
振り返りは「できなかったこと探し」ではありません
振り返りというと、ミスや反省点を並べるものだと思うかもしれません。しかし、就職準備で自分を知るためのメモには、できたことや取り組みやすかった場面も残せます。
たとえば、データ入力を終えたとき、「入力が遅かった」だけで終わらせず、「見本がある部分は進められた」「途中で確認しながらなら入力できた」と書いてみます。結果だけでなく、そのときの方法や状況にも目を向けると、次に確かめたいことが具体的になります。
振り返りで大事にしたいこと
得意・苦手をすぐに決めるより、「どんな条件なら取り組みやすかったか」を残してみましょう。
同じ作業でも、説明の受け方、作業量、周りの音、疲れ具合などで感じ方が変わることがあります。1回の結果だけで「自分には向いていない」と結論づける必要はありません。
作業後のメモは3つの欄から始められます
ここで紹介する3つの欄は、この記事で提案する書き方の一例です。すべて埋める必要はなく、気づいたことを一言だけ残しても構いません。
できたこと:小さな行動を具体的に残す
「全部できた」だけでなく、「見本と照らして入力できた」「分からない箇所を質問できた」「最後に確認する時間を取れた」など、実際に行ったことを書きます。
作業が途中でも、進められた部分は記録できます。「指示された最初の項目までできた」のように、できた範囲を残してみてください。
困ったこと:止まった場面と状況を書く
「自分は苦手」とまとめる前に、「数字の多い欄で確認に時間がかかった」「口頭の説明を途中で忘れた」など、どこで困ったのかを具体的にします。
理由が分からない場合は、無理に分析しなくても構いません。「作業の後半で集中しにくかった」のように、気づいた場面だけでも次に振り返る材料になります。
次に試すこと:小さく1つ選ぶ
困ったことに対して、次回に確かめたい方法を1つ考えます。「説明をメモしてから始める」「入力後に見本と照らす」など、試す場面が浮かぶ書き方にします。
一度に多くの方法を変えるより、何を試したか分かる形にすると、次のメモと見比べやすくなります。思いつかないときは、空欄のままにしたり、支援者に相談したいことを書いたりしてもよいでしょう。
データ入力の作業なら、こんなメモも書けます
以下は、書き方を説明するための架空の作業例です。実際の利用者の記録ではなく、正解の書き方でもありません。
振り返りメモの書き方の一例
できたこと:「見本を見ながら、文字の入力は進められた。」困ったこと:「数字の欄で、入力した内容が合っているか何度も確認した。」
次に試すこと:「入力後に見本と照らす確認方法を、作業担当者と相談する。」
このメモだけで、「文字入力が得意」「数字入力が苦手」と決める必要はありません。「見本があると進めやすい」「数字の確認方法を整理したい」という、次に確かめる視点として扱えます。
自分のメモに置き換えるときは、次の点を見てみましょう。
自分の振り返りメモを確認してみましょう
✓ できた行動を1つでも残せていますか。
✓ 困ったことを、作業のどの場面かで書けていますか。
✓ 次に試したいこと、または相談したいことが見えていますか。
次回は同じ観点で見比べてみましょう
次に似た作業をしたら、前回のメモを見返します。「試した方法は使えたか」「取り組みやすさはどうだったか」「別の場所で困ったか」を、同じ観点で確かめてみます。
変化がなかった場合も、失敗と決める必要はありません。作業量や環境が違っていなかったか、試す方法が自分に合っていたかを考える材料になります。短い記録でも、複数回を見比べることで、繰り返し困る場面や取り組みやすい条件を探せます。
なお、訓練や職場で決められた手順を変更する場合は、先に担当者へ確認してください。自分だけで変えるのではなく、「この方法を試してもよいですか」と相談してから取り組みます。
メモを書くこと自体が負担なら、毎回書く必要はありません。気づきがあった日に一言残すなど、続けやすい形を選べます。
しごとCLANでは実践を自己理解につなげます
一人で振り返っても、「どこに注目したらよいか分からない」と感じることがあります。そのようなときは、作業で起きたことを支援者と一緒に整理する方法もあります。
しごとCLANでは、得意なこと・苦手なこと、働くうえで必要な配慮、自分に合う職場環境などを整理する自己理解支援を行っています。
PC訓練、Word・Excel、データ入力、模擬業務などの実践的な訓練では、作業に取り組むことに加え、得意・不得意や働き方の特徴を把握することも重視しています。訓練や面談などを通じて、自分についての気づきを得られることを大切にしています。
まずは次の作業の後に、「できたこと」を1つ残してみるところから始めてみませんか。困った場面や次に確かめたいことも書けそうなら、少しずつ加えていけます。
「得意・苦手を整理したい」「PC訓練でどのようなことを振り返れるか知りたい」と感じた方は、相談や見学の際に、気になっていることをお聞かせください。

