仕事で分からないことがあっても、「相手が忙しそう」「何から説明すればいいのか分からない」と、声をかけるまでに時間がかかることはありませんか。
就職を準備している方にとっても、職場で質問する場面は気になるところかもしれません。聞きたいことが頭の中で混ざっていると、最初の一言が出にくくなることもあります。
この記事では、質問する前に整理する「3点メモ」と、声のかけ方の例を紹介します。決まった正解として覚えるのではなく、自分や職場に合う聞き方を考えるために使ってください。
質問する前に、聞きたいことを3点に分ける
短いメモを用意すると、どこで困っているのかを伝える手がかりになります。次の3点は、この記事で提案する整理の例です。
1. どの作業の、どこで困っているか
「分かりません」だけでなく、作業名や止まっている箇所を書きます。例えば「名簿入力で、日付が空欄の行をどう扱うか分からない」という形です。
最初から詳しく説明しようとせず、まずは相手が該当箇所を見つけられる言葉を選んでみてください。
2. 何を確認したか
手順書や指示のメモを見た場合は、「手順書の入力例を見たが、空欄の場合の説明が見つからなかった」と短く残します。
まだ確認できていなければ、そのまま伝えて構いません。質問前に、長時間一人で調べ続ける必要はありません。
3. 何を教えてほしいか
「空欄のままでよいか」「誰に確認するか」など、答えてほしいことを1つに絞ります。複数あるときは、先に確認したいものから並べます。
言葉にしにくければ、該当箇所を示して「ここから先の進め方を教えてください」と伝える形でもよいでしょう。「どこが分からないか、自分でも整理できていません」と相談して構いません。3点すべてを埋めることが、質問の条件ではありません。
声をかける一言と、質問をつなげる
次は、データ入力の作業中に確認する架空の会話例です。
「名簿の入力について確認したいことがあります。今、お時間よろしいでしょうか。」
相手が対応できることを確認したら、3点メモを使って続けます。
「この行の日付が空欄で、入力を止めています。手順書の例では扱いが分からなかったので、空欄のまま進めてよいか教えてください。」
口頭で全部話すことが負担なら、職場で認められている範囲で、メモや画面を一緒に見てもらう方法もあります。紙、チャット、声かけなど、どの方法を使うかは上司や担当者と確認してください。
回答を聞いた後は、「空欄にせず、担当者へ確認してから入力する、という理解で合っていますか」のように、自分の理解を短く返します。聞き取れなかったところは、もう一度確認して構いません。
忙しそうなときは、待ち方も確認する
相手が対応できないときには、「いつ頃なら確認できますか」「それまでは、どの作業を進めればよいですか」と聞いておくと、次の行動を整理しやすくなります。
職場によっては、質問する時間、相談先、緊急時の連絡方法が決まっています。自分だけでタイミングを判断し続けるより、あらかじめ確認しておくことも役立ちます。
質問のしやすさは、本人の伝え方だけでなく、誰にどの方法で相談できるかという職場の環境にも関わります。聞き方の練習と合わせて、相談先や方法を上司・担当者と整理してください。
ただし、安全に関わること、ミスや情報漏えいにつながるおそれがあること、急ぎの判断が必要なことは、メモを整えるより連絡を優先してください。分からないまま自己判断で進めず、職場の手順に従って上司や担当者へ速やかに確認します。
一度に上手に話すより、聞き方を振り返る
質問した後は、「何が言いやすかったか」「どこで止まったか」を1つだけ振り返ってみてください。
- メモがあると作業名を伝えやすかった。
- 声をかける一言は言えたが、その後の説明が長くなった。
- 口頭より、該当箇所を見せる方が伝えやすかった。
自分が取り組みやすい方法を知ることは、働く準備にもつながります。まだ職場で試す機会がなければ、訓練や練習の場で、質問したいことを短く伝えるところから始める方法もあります。
しごとCLANで、伝え方と自分の特徴を整理する
しごとCLANでは、報告・連絡・相談やコミュニケーションなど、実際の仕事を意識した訓練を行っています。訓練をこなすだけでなく、経験を通して得意・不得意や働き方の特徴を把握することも重視しています。
「話す前に何を整理すると伝えやすいか」「どんな場面で声をかけにくいか」といった視点は、質問する難しさを具体的に考える手がかりになります。この記事の3点メモは、しごとCLANで決められた訓練手順を示すものではなく、聞き方を整理するための一例です。
次の質問に向けて、短いメモを1つ作る
質問の前には、「困っている箇所」「確認したこと」「聞きたいこと」を短く書いてみてください。すべてを整えてからでなければ聞けない、というものではありません。
就職に向けて、報告・連絡・相談の練習や、自分が伝えやすい方法について知りたい方は、しごとCLANの支援内容を確認してみませんか。お問い合わせの際は、「仕事中に質問することに不安がある」「コミュニケーションの訓練について知りたい」など、気になっていることを具体的に伝えていただけます。
参考情報
紙に書いて伝える方法や、質問の最初の言葉を決める例は、高齢・障害・求職者雇用支援機構の資料でも紹介されています。対応例は個人や職場に合わせて考えるもので、すべての方に同じ方法を勧めるものではありません。

